ハチ刺され(令和4年10月)

更新日:2022年09月29日

ハチ刺されが多い季節となってきました。今回は、ハチ刺されについてお話ししたいと思います。ハチ刺され被害の大半は8月~10月の3カ月間に発生します。この時期は、ハチの巣が大きくなり活動が活発になる時期です。

厚生労働省の人口動態調査によると2020年にハチに刺されたことで亡くなった方は、全国で13人(意外と少ない?)と報告されています。では、なぜハチに刺されただけで命に関わるのでしょうか。それは、ハチ毒による強いアレルギー反応、いわゆるアナフィラキシーが起こるためです。ハチに一度刺されると、ハチ毒に対する免疫反応により抗体が産出されます。この抗体を持っている方が再度ハチに刺された場合、約15~20%の方がハチ毒アレルギーを発症すると言われています。全身のじんましん、嘔吐、むくみ、呼吸困難といった症状をきたし、さらにその数%が意識障害や急激な血圧低下といったショック状態が起こり、死に至る場合があります。ただし、ハチに刺されたのが1回目であっても多数のハチに刺されれば、アナフィラキシー様の症状が出る危険性があるので、同時に数匹以上に刺された場合は注意が必要です。

ハチに刺された後すぐに病院を受診していただきたいのは、次のような症状がでた時です。1.消化器症状(繰り返し吐き続ける、我慢できない強い腹痛)、2.呼吸器症状(喉や胸が締め付けられるような感じ、ゼーゼーするような呼吸、息苦しさ)、3.全身症状(唇や爪が青白い、意識がもうろうとしている、脈が触れにくい)の3つに注意が必要です。これらのアレルギー症状は、刺された直後から30分以内に起こることが多いとされています。逆に、刺されてから数時間が経過した場合はあまり心配なく、刺された箇所の痛みや腫れの症状は自然軽快します。ここで大切なのは、刺された直後から数十分してからの体の様子です。少しでもおかしいなと思ったら、救急車の要請をお願いします。

東庄病院医師 山本真弘