伝東常縁筆詠草断簡(千葉県指定文化財)
町内橘地区に古くから鎮座する東大社には、東常縁が詠んだと伝えられる歌を記した断簡が残されています。裁断された一紙に2首ずつ計6首の歌が記されており、(歌の内容は下段)筆跡から伝来する常縁の書と近似していることから、常縁の在世中か死後それほど経たない時期のものと考えられます。
この詠草断簡は、大正8年(1919)に東氏子孫から奉納されたもので、東大社境内にはその記念碑が建てられています。

伝東常縁詠草断簡
歌の内容
第1紙
待花 「よをすてゝ 行身と人の 問ひやせん 花さかぬまの ミよしのゝおく」
聞恋 「いひわひて つらき心の ありとたに またきゝあへす ぬるゝ袖哉」
第2紙
松上 「藤くれて 行春よりほかは 年へても 色にハいて ぬまつの藤なミ」
五月雨 「見るまゝに 猶かきくもり 入あひの かねよりくるゝ 五月雨の空」
第3紙
見恋 「なにはえや あしまをわけて 立つしほの 見るめに思ひ ますよなるらん」
水鳥 「思いしり ぬすむよのほとを をしかもの たかせのなミに うきしつむとも」
東常縁について
東常縁(1401~1482)は東氏初代東胤頼の子孫で、美濃国郡上を領していました。
室町時代、関東で発生した鎌倉公方と関東管領の対立(享徳の乱)に関連して発生した千葉氏の内紛と千葉氏宗家の滅亡にあたり、室町幕府奉公衆であった常縁は、将軍足利義政の命により内紛を鎮めるべく下総国へ下向し、千葉氏宗家を滅亡させた馬加康胤らを討ち取るなどの活躍を見せています。
また東氏は、代々歌道に優れていましたがその中でも常縁は特に優れており、二条流の歌学者でもありました。文明三年(1471)、常縁は当時の和歌の教科書でもあった『古今和歌集』の解釈を連歌師であった宗祇に伝えています。(古今伝授)
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更新日:2024年08月29日